これからの宮崎をリードする人材を育てるための人材育成プログラムである「ひなたMBA(みやざきビジネスアカデミー)」。経営幹部向けの講座をはじめ、社会人になったばかりの方でも受講できる講座まで、プログラムは多岐にわたります。今回はその中の一つ、「経営実践ゼミ」の模様をお届けします。
経営者や経営幹部を対象に、自身が設定する課題や戦略を仲間とともに徹底的に探求することを目的とした「経営実践ゼミ」。持ち寄る課題は受講生ごとに異なるため、得られる学びや気づきが人により違うのもこのゼミの大きな特徴の一つです。毎回約5時間、全6回にかけて行われる同プログラムには、今年7人の受講者が参加しています。
第4回までは宮崎大学地域資源創成学部の杉山智行講師による全体講座と、各専門家の元行うゼミの2部構成で、最後の講座では受講生による発表会を実施します。1回目、2回目は、講座で事業変革をテーマに経営環境分析などについて学び、ゼミ内で課題の共有や経営環境の分析などを行ってきました。
そして10月11日に行われた3回目となる今回のゼミでは、前半の講座はブランディングについて。途中行ったワークショップでは、受講生同士で積極的に意見交換をしたり、講師にアドバイスをもらったりしながら作業を進める様子が見られました。
後半のゼミ活動では、各ゼミに分かれて経営課題の設定や深掘りなどを行いました。講座よりもより小規模な空間で、開始前から雑談で盛り上がったり、全体を通して受講者、講師ともに笑顔が多く見られたりするなど、和やかな空気感が漂っていました。また一人一人が、講師に課題についての相談や詳細なアドバイスを求める姿や、講師と受講生の間で活発な意見交換が行われるシーンも。
専門分野の異なる経験豊富な3人の講師を配置しているゼミ活動。講師の一人で、株式会社RISE 代表取締役(中小企業診断士)の山元理さんにお話を伺いました。
―まずはゼミで学んでいることや、山元ゼミならではの特徴を教えてください。
山元さん:私のゼミでは、知の探索と知の深化による経営戦略分野における気づきの醸成を目的としています。ゼミ中は少しでも視野を広げてほしいと、できるだけ多くの事例や経営戦略のフレームワークを紹介するようにしています。また私からの意見だけではなく、他の受講生や専門家とも関わりいろいろな意見をもらうことができるカリキュラムのため、様々な課題解決の切り口を身につけることができると思います。
―ゼミ活動も3回目を迎えましたが、雰囲気に変化はありますか?
山元さん:お互いの信頼度が高まってきていると感じています。情報に関する守秘義務契約を結んでいることや、回を経て私や受講生同士で打ち解けてきたことで、かなり本音で話してくれるようになりました。それによって、より課題の深掘りがしやすくなったような気がします。
―受講生4人とかなり少人数でのゼミ活動ですが、小規模だからこその良さもあるのではないでしょうか。
山元さん:毎回大まかにゼミの内容を決めてはいますが、その時その時で受講生から出てくる悩みや課題に応じて、臨機応変にゼミの内容を変更したり追加したりと、カスタマイズできるところですね。この規模感だからこそ一人の悩みにフォーカスを当てられるし、コミュニケーションも図りやすいのだと思います。
―最終的に受講生にはどのような力を身に付けてほしいですか。
山元さん:経営者や経営幹部の人たちは、今後さらに自ら課題を発見・解決する能力が必要になってくると思っています。現在勉強中のフレームワークや考え方をゼミ期間内でしっかり修得することで、新たな課題が出てきた時もそれらを上手く活用し解決に役立てられるはずです。
加えて、各受講生が経営戦略や計画について発表する最終日までに、立てた計画を一部でもいいので実践してもらえたらと思います。そのようなプロセスを踏むことで、自分で本質的な経営課題を見つけ解決できるような「自己変革力」を身につけてほしいですね。
取材・撮影・構成・執筆=藤井美帆(Qurumu)